日本の千島連盟に"活動禁止命令" 「ロシアの安全の基盤を脅かしている」望ましくない団体に認定 ロシア検察庁…制裁に反発か

千島連盟を「望ましくない団体」に認定したロシア検察庁(ロシア検察庁SNSより)
ロシア検察庁は、北方領土の元島民などでつくる千島連盟(千島歯舞諸島居住者連盟)に対しロシア国内での活動を事実上、禁止しました。
ロシア検察庁は4月21日、千島連盟はロシアの領土保全の侵害を目的にしているとして、「ロシアでの活動は望ましくない」と発表しました。

ロシア検察庁(ロシア検察庁SNSより)
ロシアメディアによりますと、千島連盟はロシア国内での支部の設立のほか、ロシアメディアやインターネットを使った情報の発信などができなくなります。
事実上のロシア国内での活動禁止命令とみられます。

千島連盟の総会(2022.5)
千島連盟は北方領土問題の解決促進と元島民らの福祉の増進を図ることを目的に1958年に設立されましたが、ロシア検察庁は、北方領土返還運動の先頭に立ってきた千島連盟が「国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島を切り離し、ロシアの憲法秩序と安全の基盤を脅かしている」などと糾弾しました。

岸田首相と面会する千島連盟の脇紀美夫理事長(2022.6)
ロシア検察庁は「以前からロシアに対する否定的な意見を形成していて、日本国内での反ロシア感情の高まりとともに、クリール諸島(千島列島と北方領土)周辺の情勢を不安定にする危険性が高まっている」とも指摘。
ロシアにとって「望ましくない活動をしている外国および国際的な団体のリスト」に掲載することにしました。日本の団体のリスト入りは初めてです。

北方領土(資料)
ロシアはウクライナ侵攻後、欧米とともに経済制裁を科す日本に、北方領土問題で日本への揺さぶりを強めています。今回の認定で「第二次世界大戦の結果としてロシア領になった」とのロシアの立場を、あらためて主張したとみられます。

ロシア検察庁(ロシア検察庁SNSより)
ロシアの「望ましくない活動をしている団体リスト」には、イギリスに本拠を置く調査報道機関「べリングキャット」のほか、「メドゥーザ」などロシア反体制派メディアなどが含まれています。
今回の措置で、千島連盟が発信した情報を、ロシア国民がSNSで拡散することも禁止されます。