いまが旬「ギョウジャニンニク」採り…危険と隣り合わせ 死者事故の6割以上占める…危険な沢に自生 春の山菜採り

旬を迎えた行者ニンニクなど春の山菜採りの遭難事故防止を呼びかける北海道警
北海道内では4月から6月までの間に遭難の8割以上が発生していて、このうち「春の山菜採り」による死者の6割がギョウジャニンニク(行者ニンニク)を目的に山に入っていたことから北海道警が注意を呼びかけています。
北海道警によりますと2018年から2022年までの過去5年間における遭難の発生は366件で、このうち4月から6月が302件と8割以上がこの期間に発生していました。
遭難者数は405人でこのうち4月から6月は335人、うち65歳以上の高齢者は284人と8割以上を占めます。
この春の時期の特徴は5月上旬ごろまで「ギョウジャニンニク」を目的にして山に入って遭難する人が多いことです。

山菜採りで行方不明の男性の捜索(北海道泊村・2021年4月)
春の山菜採りの遭難による死亡事故は、ギョウジャニンニク採りを目的とした人が6割以上となっています。
ギョウジャニンニクはアイヌネギとも呼ばれる北海道を代表する山菜で、ニラよりも芳醇な香りが特徴です。
ただ警察の担当者によりますと、自生する場所は水が豊富で険しい斜面などであることから、高齢者にとっては危険が伴うといいます。
最近でも4月12日、札幌市手稲区手稲金山で市内に住む無職の78歳の男性が「ギョウジャニンニクを採りに行く」と家族に伝えて出かけたまま行方不明となり、翌日、山中の小川の近くで倒れているが見つかり、その場で死亡が確認されました。

2023年4月12日のUHBニュース
このギョウジャニンニクに続いて5月から6月にかけて旬を迎えるのがタケノコです。
タケノコは笹竹が生い茂る場所の根本付近に自生していることから、下を向きながらまるで「宝さがしゲーム」のようにタケノコを追い続けて、気が付くと自分がいる場所がわからなくなるなど遭難の約9割が「道迷い」となります。
ちょうどこの時期は冬眠明けのヒグマの行動も活発で、ヒグマによる人身事故の危険も高くなります。
過去5年の4月から6月にかけてヒグマによる死傷者数は11人でこのうち2人が死亡しています。
道警は山菜採り目的の入山者心得として、5つのポイントをあげ、注意を呼びかけています。

タケノコ採りで行方不明になった男性の捜索(北海道石狩市 2020年7月)
【山菜採り目的の入山者心得】
・行き先と帰宅時間を家族に伝える。
・単独行動を避ける。
・慣れた場所でも遭難するかもしれないとの認識を持つ。
・万が一に備え、目立つ色の服装で、携帯電話、ホイッスルを必ず持参する。
・迷ったときは、慌てず、落ち着いて行動する。
【ヒグマ人身被害を防ぐポイント】
・出没状況を確認する。
・複数で行動し、鈴やラジオで自分の位置を知らせる。
・ヒグマと思われるフンや足跡を見つけたら引き返す。
・ゴミの処理に注意する。
・ヒグマに遭遇したときは、落ち着いて行動する。