【速報】逆転勝訴 国に損害賠償命じる 「著しく正義、公平の理念に反する」旧優生保護法訴訟で札幌高裁

逆転判決を受けた原告側(2023年3月16日午後3時ごろ)
旧優生保護法によって不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、札幌市の80代の男性が、国に3300万円の損害賠償を求めた二審の裁判で、札幌高等裁判所は3月16日、一審判決を取り消し、国に1650万円の損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡しました。
札幌市に住む小島喜久夫さん(81)は1960年ごろに、精神障害を理由に旧優生保護法に基づく不妊手術を強制され、憲法が保障する子どもを生み育てる権利を奪われたとして、2018年に裁判を起こしました。
2021年1月、札幌地方裁判所は「法の下の平等を保障した憲法に違反していた」とした一方、手術から20年以上経過し、除斥期間が過ぎていることから、「賠償を求める権利は消滅している」として、訴えを棄却する判決を言い渡し、小島さんは控訴していました。
2023年3月16日、札幌高等裁判所の大竹優子裁判長は、人権侵害の程度が強度であるうえ、違法な立法行為とこれに基づく施策により、障がい者に対する根強い社会的な差別や偏見を正当化、固定化し、助長したとしました。
さらに、国は小島さんの損害賠償請求権行使に必要な情報を得ることを阻害していて、このような場合、除斥期間の適用を認めることは著しく正義、公平の理念に反すると指摘し、一審判決を取り消し、国に1650万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
一審判決を不当だとして、控訴した原告の小島さんは「嬉しいです」とコメントしました。