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【カーリング】劣勢を跳ね返す“覚悟”で松村谷田組が2大会ぶりV…混合ダブルス日本選手権

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カーリングの松村千秋選手と谷田康真選手 写真:(C) JCA IDE

 カーリングの混合ダブルス日本選手権(北海道稚内市みどりスポーツパーク)は2月26日、最終日を迎え決勝は松村・谷田組(松村千秋選手、谷田康真選手)が延長にもつれ込む大激戦の末、8対7で小穴・青木組(小穴桃里選手、青木豪選手)に勝ち2大会ぶりに日本チャンピオンに輝きました。

 松村・谷田組は日本代表として4月に韓国・江陵(カンヌン、平昌五輪開催地)で行われる混合ダブルス世界選手権に挑みます。

 ■スコアボードの前で“ジワジワ”

 表彰式、2人は決勝のスコアボードを見て「なんかすごい試合をしたな」(松村選手)、「(写真撮影で)試合をしたシートに立って“やったんだな”とジワジワきた」(谷田選手)と沸いてくる優勝の実感について口にしました。

 ■決勝スコア

 2月26日 決勝 Bシート
 松村・谷田 0111 0400 1 | 8
 小穴・青木 4000 1011 0 | 7

 ■まさに“すごい試合”

 決勝は第1エンドにいきなり4点を失う“ビハインドゲーム”。追いかける展開からスチールやパワープレーを含む相手後攻を1点に抑えて追い上げると第6エンドのパワープレーでは一挙4得点で逆転、最終エンドはリスクを回避し敢えて相手に1点を与え延長突入を選択。エキストラエンド(延長)で小穴・青木組の攻め手を摘み取り追い込むと自分たちの最終投を前に勝負を決めました。

 ■劇的逆転の連続

 予選から決勝まで9戦全勝で頂点にたった通称“チャッスー”ペア。決勝の逆転劇に象徴されるように今回の日本選手権は無敗以上に“逆転劇”の衝撃ゲームの連続でした。

 まずは最初の“衝撃”が大会2日目のナイトセッション。“てっちな”こと吉田知那美選手と清水徹郎選手との対戦。第3エンドを終えて6対2と4点リードを許したところから逆転しました。

 ■対てっちな戦のスコア

 2月22日 予選リーグDシート
 松村・谷田 2003 0301 | 9
 吉田・清水 0420 1010 | 8

 第2エンドに4点を取られ、さらにその直後に2点スチールされた試合を振り返り松村選手はー

 「今季はツアーでも劣勢な状況で戦ってきたことがあったので、あまり焦らずに、どうやっていけばいいのかというのを自分たちで確認しながら、そのあとは良い試合運びができていた」。

 Q.チャンスが来た時に決め切れたのはー

 「どの幅で、どういったウエイトで投げたらよいかというのを投げる前に確認して納得して投げることができているのは強みになっている。この試合は複数点をとるタイミングで発揮できた」。

 この日、谷田選手もツアーの経験を口にしました。

 「劣勢な戦いも、序盤リードしていても苦しめられる展開は数々こなしてきた。どんな点差でも絶対に勝てるチャンスがある。4人制より点の取れるチャンスは多いので本当にどんな点差でも勝ちにいこうという話はしていて、この粘りに繋がっている」。

 ■スチールに次ぐスチール4エンド連続得点

 負けたら終わりのトーナメントに入ってもチャッスーの逆転劇は続きました。準決勝は前回優勝の吉田・松村組(愛称ゆりたペア)との対戦。松村千秋選手にとっては兄、雄太選手との兄妹対決、前回大会では決勝で敗れ涙をのんだ相手でもあります。ゆりたペアも代表決定戦の時から投げ順を変え進化していました。

 この試合で逆転劇が起きています。5エンドを終わり6対3とゆりたペア3点リード、チャッスーペアはその後の後攻で1点に抑えられたものの7エンド、8エンドと先攻で得点し同点に追いつき延長に持ち込みむと延長でも先攻ながら得点するスチールで勝利をもぎ取りました。

 2月26日 準決勝 Cシート
 松村・谷田 2010 0111 1 | 7
 吉田・松村 0401 1000 0 | 6

 谷田選手は準決勝についてー

 「相手のドローが非常に上手く、ついていけずにリードを奪われた。ただ、勝つプランは2人で話し合っていた。ダブルスはスチールの可能性が高いというのをこれまでの遠征で熟知していた。(スチールの可能性が高いという競技特性を)うまく生かして勝ち切れたゲームだった。決め手は最終エンドの松村選手のラストロックで、決まったことで相手はナンバーワンをつくることが不可能になった」。

 さらにアイスリーディングについて、4人制に比べ情報が少ないダブルスを勝ち抜く“術”が鍛えられていることも垣間見せました。

 「準決勝で使われたシートは今大会、1度も使っていなくて、準決勝でいきなりあのシートに立たされたので正直なところ試合中に1からアイスを読んでいかなければいけなかった。序盤は相手の方が精度で上回っていたと思う。ただ(対戦相手が)吉田松村というトップチームで投げる軌道も近いところもあり、元チームメートでもあるので相手のプレーからも情報を得て後半にかけて精密なアイスリーディングができた」。

 ■3年前とは違う“覚悟”でつかんだ頂点

 松村・谷田ペアは2020年、初めて日本チャンピオンとなりましたが、拡大し始めたコロナ禍で世界選手権は中止。2021年に代表決定戦に勝利し、北京五輪の出場を目指し世界に出ていきました。北京五輪の出場ラストチャンスはつかむことはできませんでしたが、五輪メダリストらも出場した世界選手権(2022年4月)で予選リーグ突破目前のところまでいきました。

 谷田選手は2021-22年シーズンをもって所属していたコンサドーレを離れダブルス“専念”に踏み出しました。

 谷田選手はー
 
 「前回のオリンピックを見ていて、このままでは日本がミックスダブルスで五輪に行くのは難しい、(4人制との掛け持ちではなく)トップ選手の誰かがトライをしないと日本のカーリングは前に進まないなと感じたとき、自分でやるのもありだなと。正直怖かったけれどもそう思って松村選手にも相談して、松村選手にもそれに答えたいと言ってもらえた」。

 松村選手はー

 「ダブルスで勝っていくためにはという話をした中で“自分たちで新しい道を切り開いていくのが今のベスト”ではないだろかというふうに思ったし、私もダブルスで悔しい思いをしてオリンピックに向かっていきたいと思っていたので、前向きにダブルスでやっていこうというふうになった」。

 「簡単に約束できない」とメダルや目標については明言を避けましたが2026年のイタリア、ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けてダブルス専念のチャッスーペアは4月、平昌五輪の舞台で行われる世界選手権に向かいます。

 ■世界で悔しい思いをした“チャッスー”

 松村千秋選手の名、“ちあき”と谷田康真選手の愛称“ヤッスー”を組み合わせた通称「チャッスー」は2021年秋、北京五輪を目指す日本代表に決まった2人を当時、テレビ解説もした山口剛史選手がSNSを通じて命名しました。

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