冬眠しない?北海道で"冬グマ"出没相次ぐ 『生息域での登山やスキー』は要注意「わずかな刺激で目覚める恐れも…」
「冬は安心」という思い込みは危険です。
北海道・函館市内の山林で2023年2月、作業中の男性2人がクマに襲われました。
冬眠しているはずのクマがなぜ現れるのか。「冬のクマ」の実態を取材しました。
雪道を歩く3頭のクマ。3頭のうち、2頭は体が小さく、生まれて間もない、子グマとみられます。
この親子グマが撮影されたのは2022年12月。札幌市内に設置された監視カメラが捉えました。
冬になるとクマは冬眠するはず…。しかし、今シーズン北海道内各地でクマの出没が相次いでいます。

雪の上に点々と足跡が…北海道では「冬のクマ」出没が相次いでいる
雪が積もった山の中を歩く3頭のクマ。住宅地からわずか300mの札幌市内で2022年12月、撮影された映像です。
さらに札幌・中央区でも2022年12月31日、雪の上に点々とクマの足跡が。
北海道内では最近、各地で「冬のクマ」の出没が相次いでいます。

雪が降り積もる山で作業員がクマに襲われる事故が(函館市 2023年2月)
斉藤 健太 記者:「現場は木に囲まれた場所です。男性はここからさらに奥の山中で襲われたということです」
2023年2月4日、函館市大船町の山林で木の剪定作業をしていた男性2人がクマに突然、襲われました。
このうち、69歳の男性が手足を噛まれるなどケガをしましたが、命に別状はありませんでした。

函館市の現場から数キロの距離にはホテルや学校も
現場は、国道からわずか数キロの山林。近くにはホテルや学校もあります。

剪定作業中に2人がクマに襲われ、1人がケガ
警察によりますと当時、4人で剪定作業をしていたところ、40代の男性が突然、クマに襲われ、すぐそばにいた男性がクマを追い払おうとしたところ、もみ合いになったということです。
4人は、クマが斜面から転がり落ちた隙に逃げたといいます。

札幌市は西区の三角山や円山周辺を「ヒグマ対策重点エリア」に
相次ぐ「冬のクマ」の出没。年末にクマの出没が相次いだ札幌市では、西区の三角山や円山などを「ヒグマ対策重点エリア」とし、草刈りやハンターによる見回りなど、対策を強化しています。

北海道立総合研究所の釣賀一二三研究主幹は「巣穴の近くで作業が続き、クマが出てきた可能性がある」と指摘
北海道内で冬眠しないクマが増えているのでしょうか?
道立総合研究機構 釣賀 一二三 研究主幹:「(今回の襲われたケースは)近くで一定の時間作業していて、いつまでたってもそこから去ってくれない。音とかにも気がついている状況だと思いますので冬眠穴から飛び出してきた可能性がある」
冬眠中のクマはわずかな音や振動でも目覚めてしまうことがあるといいます。