廷内の小関彩乃被告（23）

　ホテルで出産した赤ちゃんを殺害し、遺体を駅のコインロッカーに放置した、殺人と死体遺棄の罪に問われている、住所不定無職の小関彩乃被告（23）に対し、札幌地方裁判所は2月3日、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。

事件があった現場（JR千歳駅 2022年6月）

　住所不定・無職の小関彩乃被告（23）は、2022年5月16日ごろ、札幌市中央区内のホテルで、男の赤ちゃんを出産し、直後に湯を張った浴槽に沈めて窒息死させた上、遺体をクーラーボックスに入れて、同月31日JR千歳駅にあるコインロッカーに放置した殺人と死体遺棄の罪に問われていました。

　1月31日から開かれている裁判員裁判で、小関被告は起訴内容を認め、検察側は「尊い命を奪った殺人は重大で、知人男性との関係を優先した極めて自己中心的な犯行。知的能力に起因するものとは言えない」として、懲役8年を求刑していました。

　一方、弁護側は「勤めていた風俗店で男性客に無理やり性行為をされ、予期せず妊娠をした。生まれた赤ちゃんを目の当たりにして混乱し、極度に疲弊した状態で、自分をコントロールする能力が低下していた。」「ADHDグレーゾーンなどの被告の知的能力の影響で誰にも相談できずにいた」として懲役3年の保護観察付き執行猶予の判決が妥当と主張していました。

事件があった現場（JR千歳駅 2022年6月）

　判決で札幌地裁の井下田英樹裁判長は「知人男性との関係に執着し、未来ある赤ちゃんの命を奪った犯行は重大で、浴槽に沈めたなどの行動は悪質。自己中心的で身勝手だった」とした一方、「誰かに相談する機会があったのにしなかったのは、過去にいじめを受けた経験などから自己肯定感が低く、男性に依存する性格だったことが影響している。孤立出産で混乱し、助けを求めるのは容易ではなかった」として、小関被告に懲役8年の求刑に対し、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。