「本音を言えていないと思う」グループホームの"不妊処置"問題で障がい者団体が会見…北海道に抗議文書を提出

記者会見の様子(13日午後2時ごろ)
北海道の江差町にある社会福祉法人「あすなろ福祉会」が運営するグループホームで、知的障がいのある男女に不妊処置を提案していたことを受け、障がいのある人で作る札幌市の団体が1月13日、北海道庁で抗議活動を行いました。
この問題は、「あすなろ福祉会」が運営するグループホームで、入居する知的障がいのある男女が結婚などを希望した場合、子どもが生まれた場合に子育ての支援体制が整っていないことから、20年以上前から不妊処置を提案していたものです。
この提案には、これまで8組16人のカップルが応じ、保護者も同意していました。
北海道と江差町は2022年12月26日から、"障がい者総合支援法"に基づき、問題が発覚すれば改善を勧告・命令できる監査を行っています。

ピープルファースト北海道の松岡敏雄会長
2023年1月12日、障がいのある人で作る札幌市の団体「ピープルファースト北海道」は「あすなろ福祉会」を訪れ、「不妊処置を条件化していたのは許せず、人権侵害だ」などと抗議。あすなろ福祉会は「選択肢として提案していた」と話していました。
1月13日午後2時、「ピープルファースト北海道」は北海道庁で記者会見を開き、松岡敏雄会長は次のように語りました。
「悲しいし寂しいし、どうしてこうなったのかという思い。おそらく、当事者は職員に本音を言えていないと思う。周りに不妊処置をした方がいいと言われたら同意せざるを得なかったと思う」
松岡敏雄会長は今回の対応に抗議し、子育ての支援制度の拡充などを訴えました。

北海道の担当者に抗議文書を手渡す(13日午後3時ごろ))
会見に参加した道外の女性は「私は支援者の応援や手伝いもあって、問題なく子育てができている」とも話しました。
その後、北海道保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課に抗議文書と、障がいのある人同士で話をするピアカウンセリングの検討をすることなどを求めた質問文書を提出。
北海道の担当者は「監査では、施設で何が起きていたのか、おかしなところがなかったか、確認を進めている。ピープルファースト北海道の皆さんに要望されたことを受け止めて、考えていきたい」と話しました。