「戦争という言葉が無くなれば…」ウクライナから来た"サンタさん" 子どもたちに「音楽」をプレゼント
クリスマスイヴを控え、札幌市の保育園では12月23日、一足早くサンタクロースが登場しました。
ウクライナから来たサンタさんです。
クリスマスのワクワクした気分に包まれている札幌の街。
イルミネーションがきらめく大通公園では記念写真を撮る家族の姿もありました。
しかし、複雑な思いを抱えたままクリスマスを迎える人もいます。
12月21日、札幌市北区のライブバーでクリスマスコンサートが行われました。
アコーディオンを演奏するのは、ミュージシャンのアレクサンドル・ガブリロフさん(71)です。

ウクライナ出身のアレクサンドル・ガブリロフさん
演奏活動のため、2016年から世界各国を回っていましたが、新型コロナとロシアによるウクライナ侵攻で祖国に戻れないでいます。
ウクライナ出身 アレクサンドル・ガブリロフさん:「札幌に来て演奏できることはとてもうれしいです。(ウクライナでは)爆弾やミサイルがたくさん落ちてくる。みんなが不幸にならないように解決を祈っています」
砲撃を受けた建物に残されたピアノ。
12月24日のクリスマスイブで、ロシアによる攻撃が始まって10か月です。
ウクライナでは発電施設などが壊され、多くの地域で停電が続いています。
アレクサンドルさんの家族は現在もウクライナにいて、厳しい寒さの中でクリスマスを迎えようとしていますが、思い出すのは家族と囲んだ食卓だといいます。
アレクサンドル・ガブリロフさん:「ウクライナのクリスマスはとてもきれい。テーブルいっぱいにごちそうが並ぶ」
家族と一緒に過ごせない、これが7回目のクリスマスです。
アレクサンドル・ガブリロフさん:「こんにちは。クリスマスなので子どもたちのために演奏に来ました」
12月23日午前、アレクサンドルさんは札幌市中央区の保育園にやって来ました。
子どもたち:「サンタさんだ!」「サンタさんだ!」
アレクサンドルさんの周囲の人たちが子どもたちのために、サンタさんになってほしいと頼んだのです。

子どもたちのために「音楽」をプレゼント
プレゼントは、音楽でした。
最後は子どもたちと一緒に「赤鼻のトナカイ」の合唱を楽しみました。
保育園の男の子:「うれしかった」
アレクサンドル・ガブリロフさん:「子どもの笑顔と笑い声に触れてとてもうれしいです。爆弾の音もなく、子どもたちが戦争を知らないのはいい。こんな素晴らしいクリスマスはありません。戦争という言葉が世界からなくなればいい。メリークリスマス。メリークリスマス」