酒蔵を焼失 女性杜氏が北海道で再出発「私には酒造りしかない」…地元に夫と子どもを残し 母親としての苦悩も
北海道で再出発です。
火災で大きな被害を受けた茨城県の老舗酒蔵の女性杜氏が、北海道東川町に移り住んで酒造りに挑みました。
夫と子どもを地元に残しての挑戦を追いました。
去年行われた、北海道産の酒米を使った日本酒のコンテスト。
北海道の酒蔵を抑えて初代グランプリに輝いたのは、茨城県結城市の「結城酒造」でした。

日本酒のコンテスト初代グランプリ「結城酒造」
結城酒造 杜氏 浦里 美智子さん:「まだ信じられない気持ち。北海道の酒米は後味はすっきりとキレのある仕上がりになるのが気に入っている」
杜氏の浦里美智子さん。

杜氏の浦里美智子さん
嫁いだ先の老舗酒蔵で酒造りを学んだ13年間の努力が、実を結んだ瞬間でした。しかし。
2022年5月、茨城県結城市の酒蔵が火事に。約170年前に建てられた蔵と住居がほぼ全焼しました。

約170年前に建てられた結城市の酒蔵が全焼
結城酒造 杜氏 浦里 美智子さん:「私たちの代でこういうことになってしまって、申し訳ないという気持ち」
幸い誰にもケガはありませんでしたが、酒造りを続けることはできなくなってしまったのです。
火事から7か月。北海道東川町の酒蔵に浦里さんの姿がありました。
茨城県から移り住んで酒造りをしています。
いつの日か茨城県で蔵を再建したいと考えているのです。
結城酒造 杜氏 浦里 美智子さん:「本当に私には酒造りしかないので」
夫と中学生の一人息子を地元に残し、単身での挑戦を追いました。
結城酒造 杜氏 浦里 美智子さん:「急にここ数日で雪がいっぱい降った。こういう雪道を運転するのは人生で初めて」
浦里さんは杜氏を務めていた結城酒造が火事にあったあと、地元でアパート暮らしをしながら蔵の再建を目指していました。
そんな浦里さんに声をかけたのが、かねてから交流のあった東川町の「三千櫻酒造」の杜氏、山田耕司さんです。
三千櫻酒造 杜氏 山田 耕司さん:「結城市で再興するにしても、蔵を一から作るのは金銭面など大変。酒造りをしていない間も、酒に触れてないと勘が鈍る」