シカ襲う“野犬” わなにもかからず住民の不安続く… 背景には捨て犬問題も 飼い主の責任問われる
幼稚園が近い釧路市の公園で野犬の群れが目撃されてから2週間がたちました。
住民の不安な生活が続く中、現状と課題を取材しました。
道路沿いを走る「3頭の犬」時折、撮影者の方を気にする様子で走っています。

暗闇に光る目…
そして、草むらでは…
3頭のうち2頭が伏せていて、リラックスしているようにも見えます。
野犬を目撃した女性:「首輪もしていないし、おっかない顔もしていない。ちょっと毛が長めの犬で、黒、茶色、こげ茶かな。ウ~!ではなくワンワンワン!と吠えていたので本当に犬だって」
この2週間、周辺では野犬の目撃が相次いでいるのです。

わなはそのまま…
釧路市は捕獲を試みていますが、9月8日も…
田中 うた乃 記者:「箱わなを設置してから2週間ほどがたちましたが、犬はかかっていません。中には肉がぶら下がっています」
わなにむなしく残る肉…。突如、現れた野犬の群れに打つ手はあるのでしょうか?

近くには幼稚園も…
釧路市周辺で野犬の目撃が相次いでいる問題。8月24日に釧路 大規模運動公園で目撃された3頭の近くにはシカの死骸が残されていました。
周辺には病院や幼稚園などもあり不安が広がっています。
釧路めぐみ幼稚園 青砥 惠美子 園長:「野犬も来るということであれば、先生たちで対策を考えて外で遊ばせたい」
野犬を目撃した女性:「早く捕獲してあげて、いるべきところに戻してあげたいと思っているんですけど」
住民の声を受けて釧路市は箱わなを3個設置しましたが、これまで捕獲には至っていません。
釧路市の条例では、緊急時には人や家畜への危害防止のため、野犬を駆除できるとしています。
しかし行動範囲が広く、かなりの速さで走る犬を網や麻酔銃などで捕獲するのは困難を極めるため、現状は箱わなにかかるのを待つしかないと釧路市は説明しています。

保護された犬「ポン」
一方で、なぜ野犬が出没するのかを考える必要があると話す人もいます。
釧路地方で獣医をしながら野犬の保護活動に取り組む粉川幸樹さんです。
牛などを診療する粉川さんは牧場などで野犬がどんどん増えていくのを目の当たりにしてきたといいます。
獣医 粉川 幸樹さん:「一頭でも野良犬を減らす。野良犬が不幸だとは思わないんですけど、処分される運命にある子を助けるという目的でやっています」
粉川さんはこれまでに67頭の犬を保護し、新しい飼い主につなげてきました。