断崖絶壁…70年前に消えたリゾート 幻の"オタモイ遊園地"再開発 景色楽しめるテラスや遊歩道も
昭和の初め、北海道・小樽の断崖絶壁にリゾート施設があったのをご存知でしょうか?70年が経ち、今その場所に観光地をつくるプロジェクトが動き出しています。
小樽駅から車で約15分。標高200mの切り立った崖が続くオタモイ海岸です。
昭和の初め、この場所に"夢の里"「オタモイ遊園地」がありました。建設したのは、当時小樽で料亭を営んでいた加藤秋太郎です。

加藤丙太郎が建設したリゾート施設
なぜ断崖絶壁にリゾート施設を造ったのでしょうか?
小樽市総合博物館 石川 直章 館長:「(戦前)小樽市内には銀行が25行あり、金融の街であり、物流の街。小樽の黄金期を迎えていた」
80年前に作られた小樽市の地図です。

80年前 いまの小樽に近い街並みが出来上がっていた
海岸沿いには石炭の集積所や港湾施設が整備され、今の小樽に近い街並みがすでにできていました。しかし、それゆえに悩みがあったといいます。
小樽市総合博物館 石川 直章 館長:「秋太郎が強く感じたのが、小樽に時間をつぶしてとどまる場所。観光する場所が少ないと痛感していた」
加藤秋太郎は親交のあった鯉の養殖業者からオタモイを紹介されたことをきっかけに、開発に着手。1935年にオタモイ遊園地をオープンさせました。
これはその1年後に撮影された貴重な8ミリフィルムです。

つづら折りの道を下って「オタモイ遊園地」へ
訪れた人たちはつづら折りの道を下って、オタモイ遊園地に向かいます。
トンネルを抜けた先に待ち受けていたのは、断崖絶壁に懸造で造られた3階建ての高級料亭「龍宮閣」。

トンネルを抜けると料亭「龍宮閣」
当時の富裕層が接待などでよく利用したといいます。
遊園地とは名ばかりで遊具は、滑り台やシーソー木馬などしかありませんでした。
小樽市総合博物館 石川 直章 館長:「いまでいう遊園地から発想を外して、基本的には浴衣で遊べるところ。演芸場に行って大衆食堂で酒をつまみながらご飯を食べて、景色を見て帰る、そんな感じ」
夏は海水浴客で賑わいました。日本海に沈む夕日は格別だったといいます。