あの日から3か月…「時間止まったまま」帰り待ち続ける家族の思い 知床"KAZU1"沈没事故の深い爪痕

コースも短縮され、乗客全員がライフジャケットを着用
安全対策が進められる中、この日、船には30人ほどが乗っていました。全員ライフジャケットを着用し、知床岬の手前までの短いコースをめぐります。
乗客は知床ならではの景色を堪能したり、野生の動物の写真を撮影したりしていました。
乗船客:「素晴らしい景色が見られてとても楽しかったです。正直、はじめは心配でしたし、小さい船でどうだろうなと思いながら乗ったんですけど安全に走行していて、天気もよかったので心配せずに乗っていました」

斜里町役場には今も多くの献花やメッセージが届く
斜里町の役場にはいまも多くの献花やメッセージなどが置かれています。献花は週に40束ほどあり、職員が交代で1日2回、手入れをしています。
斜里町 保健福祉課 茂木 千歳 さん:「とにかく皆さん、行方不明の方が見つかってほしいという思いがあって、切実な願いがこもっているお花なので、できるだけその思いが伝わればいいなと思って手入れをさせていただいております」

「日々、悔しさが募る」と話す馬場斜里町長
事故発生当初から対応に当たってきた馬場隆町長はこの3か月をこう表現します。
斜里町 馬場 隆 町長:「まだ行方不明者が12人いらっしゃる中では、本当に日々、悔しさが募ってきております。お客様が、知床を選ばなかったら良かったのか。船に乗ることを選ばなければ良かったのか。様々なことが私の頭の中をぐるぐる巡りまして、本当に悔しさがいつも占めている。そんな状況ですね」

「二度とこういう事故は起こしてはならない」
世界遺産・知床を抱え、観光地として発展してきた斜里町。事故で大きなダメージを負った知床を立て直すためには安全面での総点検が必要だと話します。
斜里町 馬場 隆 町長:「今回、安全という部分で信頼を失うようなことがありましたけれども、だからこそ二度とこういうことは起こしてはならない。安全という面は、しっかり総点検、再点検した上で、改善すべきものは改善する、精度を上げるような、取り組みをやっていく必要があるのではないかなと思います。皆さんが知床に来たことも、船に乗ったことも間違いはなかったんだと堂々と誇りを思って言えるような知床にしていかなければ、(被害者に)本当に申し訳ないという思いです」