アイヌの世界「カムイルミナ」夜の遊歩道をデジタルアートで彩る アフターコロナの新たな観光スタイルへ
北海道釧路市の観光地・阿寒湖温泉で行われている夜のイベント。アフターコロナの新たな観光スタイルを模索しています。
観光客で賑わう昼間とは違った顔を見せる阿寒湖温泉。
森に杖を持った人たちが入っていきます。向かった先は…
森に広がる幻想的なデジタルアート。
アイヌ文化の世界観を楽しむことができるイベント「カムイルミナ」です。
客:「すごく新鮮で、街の中とは違う自然が楽しかったです」。

アイヌ文化の世界観
自然と一体で楽しむ体験型のイベント。コロナ禍以降の新しい観光スタイルを模索しています。
6月18日から始まった阿寒湖温泉の体験型ナイトウォーク「カムイルミナ」。
アイヌ民族の集落がある阿寒で夜の遊歩道を舞台にデジタルアートを体験できるイベントです。
オープニングセレモニーではアイヌの舞踊も披露され、参加者で成功を祈願します。
ルートは阿寒摩周国立公園の遊歩道1.2キロ。森の木々には動物や植物、アイヌ民族の神話などが映し出され、幻想的な世界が広がります。
スペインの世界遺産サグラダ・ファミリアなどで、プロジェクション・マッピングを手がけているカナダのモーメント・ファクトリーが制作しました。

暗闇に浮かび上がる光
物語のベースとなるのは、アイヌ神謡「大飢饉から人々を救ったカケスの神の物語」。
自然への感謝を忘れかけている人間をカムイがいさめるストーリーが8つのゾーンで展開されています。
参加者は案内役のフクロウに導かれ杖でリズムをとりながら、自然との共生を体験します。
参加者:「歩いて自分で回るのがたのしかったです」
参加者:「現代的な光を使って自然と光の融合を楽しめたと思います。こういうところでアイヌ文化を知ることができてよかったです」

まるで神話の世界
観光客の参加が目立ったカムイルミナですが、2020年は新型コロナウイルスの影響では中止。2021年は期間短縮に見舞われました。
阿寒地区の観光客もコロナ前と比べ5割近く減少。3年ぶりに行動制限がない中での開催に、地元からは期待の声があがっています。
阿寒観光汽船 佐々木 和幸 さん:「2021年は(コロナ前比)40%くらい。カムイルミナをやることで阿寒湖に泊まるお客さんも増えますし、コロナで観光客が低迷していたので、カムイルミナが始まることによって、たくさんお客さんが来る期待感はありますね」
カムイルミナでは消毒やマスク着用の呼びかけに加え、杖に搭載されたGPS機能で参加者のいる場所を把握し、密にならないように誘導します。
阿寒アドベンチャーツーリズム 間宮 宏明さん:「ピンクや黄色や緑がお客さんがいるところでGPSが反応して遠隔で状況がわかります」

ようこそアイヌの世界…
さらに日本語、英語、中国語、韓国語に対応した多言語ガイドアプリを導入。今後、解禁されるインバウンドも呼び込みたいと意気込みます。
阿寒アドベンチャーツーリズム 間宮 宏明さん:「インバウンドには期待しており、多くの外国の方にお越しいただきたいと思います。カムイルミナも温泉街も多くのお客さんがきていただくことで街もにぎわいができてますので、そういった意味でも期待しています」
カムイルミナは11月19日まで毎晩開催されています。夏の思い出に幻想的な世界を体験してみてはいかがでしょうか