札幌市街地“ヒグマ襲撃事件” から1年… どう備える?草刈りや電気柵設置も「出没情報に敏感に」
札幌市東区で男女4人がクマに襲われた事件から、6月18日で1年を迎えます。
人間の生活圏に出没するクマにどう対応すれば良いのか、現場の取り組みを追いました。
2021年6月18日、190万人以上が暮らす札幌。その東区に突如クマが現れました。
男女4人が重軽傷を負った事件から6月18日で1年。
道総研 釣賀 一二三 研究主幹:「創成川に入って中心部に入ってきてしまうことも全くないとは思わない」
最悪のケースへの備えは、どこまで進んでいるのでしょうか。

見通しが良くなった水路
札幌市がいま強化しているのがクマの侵入対策です。2021年7月、水路を覆うように草が生えていたこの場所は…。
水上 孝一郎 記者(6月10日取材):「2021年にクマの通り道となった可能性が高い東区の水路では、2022年は草を刈って見通しを良くしています」
2021年、東区に現れたクマは当別町方向から石狩川を泳いで渡り、北区の茨戸川緑地までやってきたといいます。
その後、草が生い茂る茨戸川や支流の伏籠川、住宅街などの水路で身を隠しながら移動してきたと考えられるため、侵入対策を強化したのです。

再び中心部に?
専門家は川伝いに移動するクマの習性から、ある可能性も口にします。
道総研 釣賀 研究主幹:「緑地や水路のようなクマが身を隠す環境が続いていると、そこを伝って入り込むことも十分考えられる。創成川に入って中心部に入ってきてしまうことも全くないとは思わない」
山と川に囲まれた札幌市。クマが川に沿って生い茂る草に身を隠しながら中心地に出没するケースも否定できないといいます。
札幌市民:「どうしようかな。逃げちゃだめだと言いますよね。実際に中心部にクマが出ることは考えたことない。怖いですね。首を守れと言うけど本当にできるかな」

南区で目撃された親子グマ
その中央区から8キロほど離れた南区中ノ沢周辺では、5月から6月16日までに親子グマの目撃が7件報告されています。
2021年の事件を教訓に札幌市が警戒を強めています。
札幌市 熊対策調整担当係長 清尾 崇さん:「突然、市街地に出てくる例が去年6月までなかった。体制を見直すきっかけになった」
目撃地点から住宅街までは600メートルほど。動きを制限するため、電気柵の数を増やすなど対応に追われる中、住民の危機意識も高まっています。
南区の住民:「例えば子どもに『もしクマを見たらどこかの家に入りなさい』と言います。実際は言葉の通じない動物」
道総研 釣賀 一二三 研究主幹:「1人1人がクマに対する正しい知識を身につけることが大事。クマの出没情報に敏感になって情報があれば外に出ないなど、できる対策をすぐにする心構えが必要」
境界があいまいとなる人間とクマの生活圏。
命を守るために行政と住民が一体となって対策を考える必要がありそうです。

正しい情報収集が大事
札幌市は、クマ出没情報を通知するシステムを強化しています。
札幌市の公式LINEで「ヒグマ出没情報」というボタンをクリックしておくとヒグマが出没した場合、プッシュ通知を受け取ることができます。受信希望地域(札幌の各区)を選ぶこともできます。