精神疾患の母親に代わって家事を…ヤングケアラーの女性が見つけた居場所 支えられ作業療法士に 北海道
介護を担う子どもヤングケアラーについて、北海道は支援を本格化させています。そのキーワードは「居場所」です。
孤立しながら母親のケアを続けてきた女性が見つけた居場所。そして支えた人たちの物語です。
精神疾患のある母親のケアを続けるヤングケアラーでした。そんな時、見つけた居場所。それが未来を開く一筋の光になりました。
札幌市の大学生、尾崎瑠南さん(当時21)。精神疾患のある母親のケアを続けてきました。
母親の代わりに、2人の弟と家事を分担していました。
瑠南さん:「小学2年生の頃から(母親の)うつの症状もひどくなって、洗濯、掃除、調理。母親が調子悪い時は、病院に付き添った」
瑠南さんのように、家族に代わって家事や介護を担う子どもを「ヤングケアラー」といいます。

尾崎瑠南さん(当時21)
中学生の17人に1人いるとされています。
母親の直美さんは、家で自傷行為をすることもありました。
そのケアも瑠南さんの役割でした。
瑠南さん:「(母親が)自傷行為しそうな時は、危ないものを隠したり、ターゲットが自分にされそうな気がしてちょっと怖くて」
母親の直美さん。症状を子どもたちに説明することは難しく、孤立していました。
母 直美さん(仮名):「子どもたちに分かるように説明するのが難しい。うちの母さんは『何にもしないでただ寝てる人』って言われたことはあります」
瑠南さんの心の支えになった場所があります。生活保護やひとり親世帯の子どもの学習支援を行う、認定NPO法人カコタムの教室です。

瑠南さんが見つけた"居場所"
勉強や食事…仲間やスタッフと過ごすうち、家庭の悩みも話すことができるようになりました。
瑠南さん:「家庭に問題を抱えている子どもが多いので、たまに愚痴言ったり、一緒に遊んでいるだけで気が紛れたり、いい友達と巡り合うことができました」
高校2年生の時には、大切な場所がもうひとつできました。カコタムが一軒家を借りて作った子どもたちの居場所「ゆるきち」です。
母親との関係が悪い日も、ここに来ると安心しました。
カコタムの代表、高橋勇造さんです。
認定NPO法人Kacotam 理事長 高橋 勇造さん:「家庭との距離をおくために、ゆるきちで過ごす時間を提案したのは覚えてる」
瑠南さん:「支えてくれる存在がいないと…正直ここまで生きていたかも分からないレベルなので」
勉強を続け、大学に合格。夢はリハビリなどを担う作業療法士です。