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航路の大半で携帯電話は"圏外"…船長の携帯も繋がらず 船舶検査の実態 元従業員が証言 知床観光船沈没

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 北海道知床半島沖で26人を乗せた観光船が沈没した事故で、沈没した「KAZU1(カズワン)」と陸上の通信手段は携帯電話でしたが、航路の多くの部分が圏外となっていました。関係者の証言から、ずさんな安全管理の実態が明かになりました。

 知床遊覧船の元従業員:「『気をつけろよ、無線ないんだから』と言ったときに、『携帯でもいいって言われたんだよな』という感じだったから、『そうなんだ』ってその時知った」

 こう証言するのは、カズワンを運航する、知床遊覧船の元従業員の男性です。

知床遊覧船の元従業員

 2014年から6年ほど勤めていて、事故当日も乗船の手伝いをしていました。出港前、豊田徳幸船長が、通信手段を不安視していたといいます。

 知床遊覧船の元従業員:「自分はauだから、出港するときに『甲板員がdocomoだといいな』という感じで。(auは)ほとんどつながらない、知床の海上はね」

 運行事業者は、法律で陸上と常時つながる連絡手段として、無線か衛星電話、携帯電話のいずれかの使用を義務付けられています。

陸上と常時つながる連絡手段が必要

 カズワンを運航していた知床遊覧船の場合、船からの無線を受信する、事務所のアンテナが壊れていたことがわかっています。海上でもつながりやすい衛星電話について、桂田精一社長は。

 知床遊覧船 桂田 精一 社長:「衛星電話の調子が悪いとは2021年から聞いていたが、それが使えなくなっている認識はなかった」

「衛星電話の調子が悪いとは2021年から聞いていたが、それが使えなくなっている認識はなかった」

 故障を把握していなかったというのです。元従業員は、このことに対して。

 知床遊覧船の元従業員:「衛星電話を修理に出しているのも知らなかった。確認していないんだね(豊田船長)本人も」

 残る通信手段は携帯電話のみ。しかし、豊田船長が使っていたauは、沈没したカシュニの滝付近などの航行エリアが、圏外となっています。

キャリアによって知床半島付近の通信エリアに差がある

 NTTドコモと比べると、通信エリアに差があることがわかります。別の観光船の運航会社の社長は。

 観光船ドルフィン 菅原 浩也 社長:「docomoであれば通じる場所が多い。岩に近づくとじゃまになって、携帯電話が通じない場所が多い」

 事故当日、遭難を告げる通報は、船長の携帯電話ではなく乗客のものから発信されていたといいます。

 実は「知床遊覧船」は元々、衛星電話を通信手段として届けていましたが、事故の3日前に行われた船舶検査で、携帯電話に変更を申し出て許可されています。

 観光船ドルフィン 菅原 浩也 社長:「そこはおかしいんですよ。うちの会社も何年か前に尋ねたことがある。『携帯電話じゃだめなんですか?』『全部通じるわけではないからだめだ』と言われた記憶はある。許可を出したこと自体がおかしいと思う」

 国土交通省によりますと、検査員は地元の漁業関係者から「つながる」と聞き、豊田船長にも念押しの確認をした上で、変更を認めたとしています。今後、検査の方法を検討していく方針です。

 同じ知床エリアの羅臼町で、観光船を運航する船長は、知床半島の通信環境改善も必要だと訴えます。

 知床ネイチャークルーズ 長谷川 正人さん:「知床半島全体が、どこでも通じるくらいになれば。今回のを教訓に考えてもらいたい」

 船舶検査のあり方、通信環境の改善。再び悲劇を繰り返さないための課題は少なくありません。

(KAZU1の「ワン」は正式にはローマ数字)

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