既存施設&建て替えで経費を圧縮…"五輪招致"1人約900円 札幌市長「大会だけのためではない」強調
札幌市の秋元克広市長は2月25日、北海道文化放送の番組「みんテレ」に出演し、2030年の冬季五輪の招致を目指す中で経済的な負担への不安の声があることに対し、東京大会のように経費が膨れ上がる心配がないことや、「五輪だけのために施設整備をするわけではない」として、今後も理解を広げていきたいとしました。

東京大会では立候補時と比べ経費が膨らんだが…
2021年の東京大会では、立候補段階と実際では大きな開きが出ました。
・立候補段階 :約3000億円(東京都負担:1538億円)
・実際の開催経費:1兆4530億円(東京都負担:6248億円)
札幌市は現段階では2800~3000億円と見込んでいて、札幌市の負担は約450億円としています。
秋元市長は開催都市は、「以前はいろいろな都市が立候補し、プレゼンをして決めていたが、今は関心のある都市とIOCが会話をして決めている」として、招致の過程が変わってきていることに加え、夏と冬では規模が違うこと。そして「東京都が立候補段階で警備やセキュリティの経費を盛り込んでいなかったことがわかり、それも取り入れて札幌市が計画を作っているため、何倍にも経費が膨らむことはない」と東京大会と事情が変わっていることを説明しました。

450億円は市民年間1人あたり約900円のイメージ
札幌市の広報紙で市長は、『450億円を約30年で返していくと考えると、1人あたりの負担は年間約900円』としています。
市長は「規模感を示すうえで出した数字」とし、建設する施設は老朽化している月寒体育館、大倉山と宮の森ジャンプ競技場を1つにしてランニングコストを下げていく、選手村は大会に合わせて建て替えを予定している市営住宅を使うことをあげ、「五輪が開催されなくても建て替えや建設は必要。五輪だけのために1人900円、計450億円がかかるのではない」とし、意向調査なども踏まえながら、今後も理解を広げていきたいとしました。
計画では、既存の施設も活用することにしていて、滑降は「ニセコのスキー場」、スピードスケートは「帯広市」、そり競技は「長野五輪の施設」を活用するとして、北海道の魅力発信の機会にもしたいとしています。