きみと、ずっと。UHB|北海道文化放送

MENU CLOSE

「やっと夏が」「明日からも頑張ろう」感染対策した"ドライブイン花火" 今夏最大規模のイベントへの思い

道内経済 コラム・特集 友だち追加

 夏の風物詩、花火大会。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止が相次いでいます。

 そんな中、ちょっと変わった花火大会が開催されました。感染対策のため車の中から楽しむんです。異例のイベントの裏側に密着しました。

 音楽に合わせて夜空に開く大輪の花。この夏、北海道内で打ち上げられた最大規模の花火です。

 その光が浮かび上がらせるのは、ずらりと並んだ無数の車。実はこのイベント、車の中で楽しむ日本初開催の「ドライブイン花火」なんです。

 見物客:「今年は初めて花火を見た。きれいだった」「夏という感じがしなかった。花火を見てやっと夏が来たという感じ」

 企画したのは花火やスポーツなどのイベントのプランナー、中田源さんです。

 主催者 中田 源さん:「車内から映画を見るドライブインシアターが、コロナ禍でブーム再燃というニュースを見て、このスタイルだったら花火もできると思った」

 各地の花火大会が軒並み中止になりましたが、車の中から観賞することで密集を避ける対策を取ったのです。

 資金は、クラウドファンディングで募りました。車1台分の入場料として1万5000円。目標額300万円はわずか3日で達成し、最終的には1か月で576万円が集まりました。

 主催者 中田 源さん:「車と車の距離を左右で2メートルずつ取り、前後の間隔を詰めると花火が見づらくなるため、3メートル間隔」

 感染防止対策には力を入れました。鑑賞は車内に限定。例年この会場で行っている通常の花火大会では4000人の客が集まりますが、車だと400台が限界。

 1台に3人乗車したとして1200人。4割ほどに留まります。それでも、打ち上げることに喜びを感じる人がいます。

 花火師 越前 大介さん:「お客さんを入れて見てもらう花火は今年はきょうが初めて。打ち上げ後の歓声が聞こえず寂しい限りですが」

 花火師の越前大介さんです。毎年7月から9月にかけては全道各地で150件ほどの打ち上げを行い、お盆は自宅に帰る暇も無かったといいます。しかし、2020年は。

 花火師 越前 大介さん:「東日本大震災や胆振東部地震でも自粛ムードはあったが、あの時は逆に花火で盛り上げようと花火をあげる自治体が多かった。今回は人が集まれないので」

 今回の花火は25分間。FMラジオを通して車内に流れる音楽に合わせ、花火の種類や色が変化します。一体どんな花火大会になるのでしょうか?

 開催日、午後1時。会場入口には既に車の列ができていました。

 会場スタッフ:「感染予防のためにソーシャルディスタンス確保のお願いと…」「体温チェックだけお願いします」

 入口では来場者全員に体温測定を実施。37度5分以上の熱がある人は入場できないルールです。

 しかし開場から2時間、緊張が走りました。

 会場スタッフ:「本部スタッフの方、繋がりますか?37.6度の方がいて診てもらっていいですか」「はい、わかりました。」

 日本初のドライブイン花火の会場に緊張が走りました。来場者の中に基準の体温をわずかに上回っている人がいたのです。

 会場スタッフ:「37.6度の客がいて、当日熱があった場合は退場していただくというルールなので、本人と話をして納得していただき、退場してもらった」

 クラウドファンディングに応募しこの日を楽しみにしてきた出資者ですが、感染リスクを避けるためには入場を断るしかありませんでした。

 時間がたつにつれ来場者は増えていきます。オープンカーに乗ってやってきたのは…。

 三戸 明美さん:「マイペースにやろう!」

 2本の杖を頼りに歩く三戸明美さん。30代後半から股関節の痛みに悩んできました。これ以上放置すると歩くことができなくため、8月、人工股関節の手術を受けました。退院したら各地の花火大会を巡る予定でしたが、軒並み中止となり落胆していました。

 三戸 明美さん:「今年はすすきの祭りもないし、YOSAKOIもない。これが最初で最後の大きなイベントかなと思います」

 企画した人、打ち上げる人、心待ちにしていた人。様々な思いが夜空に開きます。

 音楽に合わせた花火ショー。あっという間の25分間でした。

 三戸 明美さん:「(手術を)頑張ったかいがあった。明日からも頑張ろう」

 花火師 越前 大介さん:「車の窓越しに笑顔が見れて、本当にうれしい限り」

 主催者 中田 源さん:「花火を見て元気になったという声を聞いたら、やってよかったと思います」

 札幌に一瞬の夏が戻った夜でした。