きみと、ずっと。UHB|北海道文化放送

MENU CLOSE

"体罰禁止"改正児童虐待防止法が施行 被害経験ある女性「わたしも娘に暴力を…子どもの命のため必要」

事件・事故 政治 社会 友だち追加

 4月1日から、子どもへの体罰禁止や児童相談所の態勢強化を盛り込んだ、改正児童防止法も施行されます。全国で子どもが犠牲になる虐待死亡事件が相次いだことを受けてのものです。子どもの命を救うために必要なものは。

 2019年6月、札幌・中央区で池田詩梨ちゃん(当時2)が母親と交際相手の男からの虐待によって衰弱死しました。

 虐待事件による悲劇は後を絶ちません。

 2018年3月には東京・目黒区の船戸結愛ちゃん(当時5)が義理の父から暴力を受け死亡。去年1月にも千葉県野田市の栗原心愛さん(当時10)が父親に水を浴びせられるなどして命を落とし、先月19日父親に懲役16年の判決が言い渡されました。


 「しつけ」と称した悲惨な虐待事件が相次いだことを踏まえ、2019年6月に成立。親などが子どもを叱る際の体罰の禁止がはじめて法律に明文化されました。

 厚生労働省の指針では、「尻をたたく」「食事を与えない」「長時間正座させる」などの具体例を挙げ、子どもの体に苦痛や不快感を引き起こす行為はどんなに軽くても体罰にあたるとしています。

 「体罰禁止」の明文化に街の人は…。

 母親:「虐待とか多いので、こういうのがあったほうがいいのかなとは思います」

 女性:「なんでもかんでも体罰といったら、(子どもが)痛みを覚えない」

 母親:「(しつけと体罰の)線引きがわからないのが多いかな。いまの大人の方は親から叩かれた方も多いと思うので、同じようにしてしまう人もいると思う」

 理想と現実の間で揺れる親たち。NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの調べでは、しつけのために子どものお尻をたたくを容認する人は7割にのぼります。

 体罰は子どもにどのような影響を与えるのか。幼いころから親に「しつけ」と称して暴力を受けてきた女性が取材に応じました。

 札幌に住む佐藤さん(仮名、50代)。幼いころから、「しつけ」と称して父親に暴力を振るわれていました。

 佐藤さん:「洋服から見えない範囲であざがつくほど殴られたり、蹴られたりしました。ささなことでも暴力を振るわれた。自分が悪いからたたかれるんだと」

 佐藤さんは成人後、家を出て、娘を出産。子育ての中で、体罰の連鎖を感じたといいます。

 佐藤さん:「自分が受けてこなかった愛情をどうやって子どもに注いでいいかわからなくて、私も結局、自分の娘に対して暴力をふるってしまったことが何度かあった」

 その後、佐藤さんは心の病を発症。親からの暴力によってできた心の傷は、まだ残っています。

 佐藤さん:「(親のことは)死んでも許せないと思います」

 体罰をせずに子どもをしつけるためにはどうすればいいのか。

 北星学園大学名誉教授で、20年以上母子相談室を開いてきた相場幸子さんは、「まず子どもを叩かないこと」だといいます。

 相場さん:「はっきり条文に体罰はいけないって書いたことは良いと思いますね。少なくともしつけだって言い張る根拠がなくなるわけですから。罰を与えていいことは何もないです。自分の中の規範として子どもに取り込まれるんじゃなくて、罰を避けるためだけにその行動をしなくなる。ぱっと手が出そうになったときに一歩ととまる。深呼吸する」

 ただ、親も人間。子どもが言うことを聞かない中で、手段や相談相手を持たない親は孤立化していきます。

 相場さん:「密室の中って人間は自分を抑えられないんですよね。ここでこういうことがあった、腹がたったってみんなで言っているといらだちは消えるんですよね。そういう親たちが話し合える場が本当に必要なんですよね」

 体罰禁止が明文化されたことで、子どもの命は守られるのか。体験した佐藤さんが感じることは…。

 佐藤さん:「法改正はやりすぎかもと思うかもしれないけど、子どもの側からすると、誰かが助けてくれないと。これ以上こんな悲しい出来事で、子どもが命を落とすってことがなくなるためには必要なことなのかなと思いますね」