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「網の目から落ちる人いる」11人死亡火災から2年… 高齢者の"終のすみか" 今春条例で規制強化へ

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 高齢者など11人が死亡した「そしあるハイム」の火災から1月31日で2年。

 同様の施設に対する規制を強化する条例が、2020年4月に施行されます。行き場のない高齢者を取り巻く環境はどのように変わるのでしょうか?

 札幌市東区の住宅街の中の空き地。

 高齢者や生活保護受給者など16人が暮らしていた「そしあるハイム」の跡地です。2年前の1月31日、深夜に出火し全焼。入居者11人が死亡しました。

 これは、焼失前の「そしあるハイム」の映像です。

 (2016年の取材)
 そしあるハイム 藤本典良さん:
「ネズミが出るんですよ。雨漏りも少ししている」

 家賃や食費、光熱費などを合わせて月7万2000円ほどで暮らすことができました。そのため行き場をなくした高齢者が多く入居していたのです。

 このような「無料低額宿泊所」といわれる施設は、行政が把握しているだけで北海道内に少なくとも89か所あります。

 そのうちの一つ、北広島市の「ロジック21」。入居者の朝食を作っているのは施設長の平山豊さん(65)です。

 こちらは家賃と食費を合わせ月額6万4500円。28歳から75歳までの15人が暮らしています。このうち10人が生活保護受給者です。

 ロジック21 平山豊施設長:
「僕も生活に困ってここに助けられた」

 平山さんは10年前、母親の面倒を見るために千葉県から生まれ故郷の美唄市に戻りました。

 しかし、仕事が見つからずこの「ロジック21」に入居したのです。

 その後、職員として採用されましたが給料は月8万円ほど。平山さん自身も生活保護を受けていて、今もここで暮らしています。

 「ロジック21」を経営する理事長の盛誠逸さん(68)です。

 ロジック21 盛誠逸理事長:
「ここにも(消火器が)あるし、こっちにもあります」

 消防法で定められた消火器や火災報知機などの基準は満たしていますが、2020年4月から新たな条例でさらに規制が強化されます。

 職員の数や提供するサービスなどの最低基準が設けられるのです。

 その基準をクリアするためには新たに出費がかさみます。

 ロジック21 盛誠逸理事長:
「生活困窮者を、行き場のない人を助けてあげたいという小さな団体はたくさんあります。そういう所が結局運営費だけかかってもう、にっちもさっちも行かなくなる」

 盛さんが一番頭を悩ませているのが職員の確保です。

 新しい条例では、施設長には社会福祉士などの専門の職員を充てる必要があります。

 そのためには人件費がかさみ、家賃を値上げしなければなりません。しかし、入居者にそんな余裕はないのです。

 ロジック21 盛誠逸理事長:
「最後のセーフティネットの一つなのに、ボロボロ網の目から落ちる人が出るんじゃないか」

 盛さんは国などが無料低額宿泊所に補助を出すことを求めています。

 4月からの新しい条例の施行で、高齢者の"終のつみか"はどうなるのでしょうか。